英文和訳、和文英訳でニュアンスを伝える難しさ
「きっかけ」と「原因」(日本医師会 中川会長の発言から)
「Go Toトラベルから感染者が急増したというエビデンスははっきりしないが、きっかけになったのは間違いない。」
Sankei Bizの記事はこう続きます。
(中略)中川氏は「『Go Toトラベルが原因だ』とは言っていない。『きっかけになった』と言った。言葉を正確にご理解いただきたい」と反論。
疫学における因果関係の証明には慎重な考察が必要なので、中川氏が「Go Toトラベルが感染拡大の原因だ」と言い切るのを避けた意図は理解できます。しかし本記事で扱いたいのは因果推論の話ではなく、この「原因」と「きっかけ」という言葉の使い分けを、英語でどのように表現するか、と言うことです。
そもそも「きっかけ」と言う日本語を国語辞典(小学館、デジタル大辞泉)で調べると「物事を始める手がかり。糸口。また、原因や動機 」となっており「原因」と言う意味で「きっかけ」という日本語の表現を使うこともありそうです。しかし、今回の中川氏の発言では「原因」と「きっかけ」という言葉を使い分けており、英語で伝える時はそのニュアンスをどう表現するかが重要です。
「きっかけ」と「原因」〜 英字新聞各紙はこう書いた〜
Nakagawa said that although there was no concrete evidence to indicate that the government's "Go To Travel" subsidy campaign was responsible for the spike in cases, "there is no mistaking that it acted as a catalyst."
また朝日新聞はこう報じました(November 19, 2020)。
At a news conference on Nov. 18, Toshio Nakagawa, president of the Japan Medical Association, said “there is no doubt” that the Go To Travel campaign “triggered” the sharp increase in new infections in recent days.